自分らしさの肯定を表すヘリカルと
女性へ贈る33編
自由に生きることへの後押し
人は誰でも、自分らしく、好きなように生きたいと思います。けれど、人それぞれの立場や置かれた状況が自分らしく生きることを難しくし、戸惑いや苛立ちを感じることもあると思います。そんな人におすすめする一冊が、小説家 山内マリコの『あたしたちよくやってる』です。
短編小説+エッセイ33編からなる『あたしたちよくやってる』では、様々な年齢や立場の女性が、社会的、また文化的ステレオタイプと自我との葛藤を心の中で感じながらも、それでも果敢に、自分らしく生きようとする様が痛快に書かれています。著者の軽快で、時折クスッと笑えるような程よいシニカルさをミックスした文章は小気味よく、また、短編とエッセイでフォントを変えたデザインなども一冊全体にリズム感を生んでいて、「自分とは何か」を思索する内容ながら、さらっと読めるのも魅力です。読み終えた後には、凝り固まった考えがそっと解きほぐされるような、無理なく自由に生きることへの後押しをされるような、そんな自己肯定感を高めてくれる作品です。
『あたしたちよくやってる』
著: 山内マリコ
幻冬舎
新規書き下ろしが収録された文庫版『あたしたちよくやってる』は8月5日発売予定。